kokoの手術看護記録

手術室看護について語ろう

腕神経叢麻痺とは

手術室では、様々な神経に対して、神経損傷や麻痺が起こらないように、看護師は対策(看護)を実践しています😊

体位は一度確定すると、手術が始まってしまってからは、なかなか変更や修正ができません。だからこそ、手術開始前に患者の関節可動域や体位固定物品を考慮し、安全な体位を作ることが重要になります💡

そこで、私たちは、身体のあらゆる神経の走行について勉強しなくてはなりません😱

今日は腕神経をみてみますが、腕神経全体を損傷することは手術室では希だと思います。腕神経より分岐したその末端の神経麻痺が時々起こりますが、まずは大元から‥

手術室で起こり得る場面としては、肩の牽引に対し、頚部が反対に引っ張られた場合など、首が急に牽引された時、体位変換で頚部を一緒に回転させなかった場合などが考えられます。なので、伏臥位や側臥位を取るときなども、しっかり頭部を持つことが重要ですね😩

 

腕神経叢:首の部分の脊髄から出て、第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成されます。

これらの神経根が脊柱管を出て、鎖骨と第1肋骨の間を通り腋の下に到達するまでの間に神経線維を複雑に入れ替えて、最終的に上肢へ行く正中・尺骨・橈骨・筋皮神経になります。

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交通事故、とくにオートバイの転倒事故などで、くびが横のほうに強く曲げられたり、肩が引っ張られたりすると、この腕神経叢がちぎれたり、脊髄の出口で引き抜かれたり(神経根引き抜き損傷、または節前損傷します。そのほか、機械に腕を巻き込まれたり、スポーツ事故でも、同じようなことがおこります。鎖骨や第1肋骨(ろっこつ)の骨折をともなうこともあります。お産の際、骨盤位分娩や肩難産の際、児頭か肩が産道の狭窄部にとらえられたまま、分娩操作で頭と肩が引き離されるような力が働いて腕神経叢が伸張され、損傷します。

 

損傷高位と範囲により、上位型、下位型、全型に分けられます

  • 上位型:肩の挙上、肘の屈曲が不可能となり、肩の回旋、前腕の回外力が低下し、上腕近位外側と前腕外側に感覚障害があります。
  • 下位型前腕にある手首・手指の屈筋や手の中の筋(骨間筋、小指球筋)の麻痺により、手指の運動が障害されます。前腕や手の尺側に感覚障害があります。
  • 全型肩から手まで上肢全体の運動と感覚が障害されます。経根の引き抜き損傷があると、ホルネル徴候(眼瞼下垂、眼裂狭小、瞳孔縮小)が見られます。